のどの病気

急性扁桃炎Acute Tonsillitis

病原微生物が扁桃(口蓋扁桃)に感染し、急性の炎症がおこる病気です。

扁桃は免疫臓器と感染臓器の二面性をもっています。通常の状態では扁桃の免疫能が強いため、細菌やウイルスにさらされても、これを排除し、感染はおこりません。しかし、過労やストレス、のどの衛生状態の悪化などで扁桃の免疫能が低下すると、感染がおこり、扁桃炎が発生するといわれています。

原因

原因となる細菌は、β溶血性レンサ球菌(溶連菌)、黄色ブドウ球菌、肺炎双球菌などが多いのですが、ウイルスによる場合も少なくありません。

最近では、性行為によってクラミジア、単純ヘルペスウイルスⅡ型が感染して扁桃炎がおこることもあります。

症状

のどの痛みが強く、ものを飲み込むときにとくに痛みます。また、からだがだるく、ひどい寒け(悪寒)がした後、38~40度の高い熱がでます。

重症になると、圧痛をともなう頚部リンパ節の腫れがみられます。

口蓋扁桃が赤く腫れ、炎症がひどくなると、扁桃の表面にある凹凸のへこんだ部分(陰窩)に一致して、汚い白色の苔(膿栓)がつきます。

診断は容易で、症状と扁桃の観察をすればわかります。血液検査や細菌検査を行って、病状の程度や起炎菌を調べることもあります。

治療

抗生物質と消炎鎮痛剤の服用が治療の中心です。うがいや吸入(抗生物質、ステロイド、抗プラスミン剤)などの局所療法も有効です。

 

普通は一週間程度の通院で治りますが、まったく飲食物がとれないようなときは、点滴で水分と栄養を補うため入院が必要になることもあります。

日常生活の注意

頭痛、発熱のために食欲がなく、飲食物がとれないときに、からだが脱水状態にならないように、水分だけは補給するようにします。

のどの痛み、開口障害があるので、刺激の少ない流動食か軟食にし、良質のタンパク質、ビタミンC、さらに水分を十分にとるようにします。

急性扁桃炎はありふれた病気のため、家庭での治療で治そうとする人もいますが、炎症が広がると扁桃の周囲に膿がたまったり(扁桃周囲膿瘍)、喉頭に波及して呼吸困難おおこしたり(急性喉頭蓋炎)するので、耳鼻咽喉科を受診したほうがよいでしょう。