眼の病気

緑内障(青そこひ)Glaucoma

緑内障とは眼球の内圧(眼圧)が高まるために、視神経が障害されて、しだいに視野が欠けていく病気です。1988~89年の疫学調査では、四十歳以上の約3.5%、約194万人がかかってるとされています。

急性緑内障

眼圧の急激な上昇によっておこるもので、緑内障発作とも呼ばれます。本来、透明な角膜が浮腫(むくみ)のためにガラスに息を吹きかけたようにくもり、瞳孔(ひとみ)が開き、緑色に見えます。このため、俗に「青そこひ」と言われます。適切な処置をしないと失明します。

慢性緑内障

徐々に視野が欠けていきますが、ほとんど自覚症状がなく、視力も最後まで保持されるため、なかなか発見されにくいのが特徴です。

原因

眼球がその形を保ち、機能を正常に維持するためには、一定の眼圧が必要です。この眼圧は、房水と呼ばれる液体の産生と排出のバランスによって15ミリメートルHg(水銀柱)前後に保たれています。

房水は毛様体でつくられ、後房~瞳孔~前房と流れ、遇角と呼ばれる排出路から眼球の外へ出て行きます。緑内障は、ほとんどがその房水の排出路の故障によっておこります。

故障には、隅角が虹彩の根元によってふさがれる「閉塞隅角緑内障」と、隅角の排出路の機能に異常がおこる「開放隅角緑内障」とがあります。どちらも房水がうまく流れないで眼球内にたまるため、眼圧が上がります。

このほかに、隅角の先天的な発達異常による「先天緑内障」や「発育異常型緑内障」、眼圧は高くても目の機能に異常がない「高眼圧症」、眼圧は正常なのに視神経が弱く緑内障となる「正常眼圧緑内障」がありますが、なぜこのような緑内障になるのか原因はわかっておらず、生まれつきの素因に老化現象が加わって発病すると考えられています。

症状

ひとくちに緑内障といっても、その種類によって、出現する症状はさまざまです。

閉塞隅角緑内障

急性と慢性で異なります。急性閉塞隅角緑内障は、頭痛、眼痛、吐き気、嘔吐が急におこり、頭蓋内出血など内科の病気とまちがえやすいため、初期の治療が遅れて失明に至ることがよくあります。

おもに夜間におこることが多く、散瞳(瞳孔が開く)をきっかけにおこります。暗いところや薬物(かぜ薬、精神安定剤など)による散瞳、長時間のうつぶせ、大量の水分摂取、白内障の進行などの誘因があります。

慢性閉塞隅角緑内障は、眼圧は上がりますが無症状で、徐々に視野欠損を生じます。ときどき電灯のまわりに虹が見えたり(虹視症)、軽い充血、眼痛がおこります。欧米人に比べ日本人に多く、また女性に多い傾向があります。ときに急性緑内障発作になることがあります。

開放隅角緑内障

眼圧は上がりますが無症状です。徐々に進行し、目が疲れやすい、目がかすむ、頭が重い、電灯の回りに虹が見えるという症状(虹視症)が現われ、しだいに視野(見える範囲)欠損が生じ、ついには視力が衰えます。

四十歳以上の有病率は0.58%ですが、しばしば眼精疲労や老眼と誤解され、手遅れになる傾向があります。とくに、近親者に緑内障の人がいる場合は発症率が高くなるので、一度は眼科医の診察を受けるべきです。

正常眼圧緑内障

日本人にもっとも多い緑内障で、四十歳以上の有病率は約2%です。開放隅角緑内障と同様、自覚症状に乏しく、眼圧は正常なのに、緑内障性の視神経視野障害となるものをいいます。眼圧が平均値より低くても、視神経が耐えられる眼圧には個人差があるため、人によってはその眼圧(健常眼圧)が低く、視神経が障害される場合があります。このような場合には、緑内障の治療を受け、さらに眼圧を下げる必要があります。

高眼圧症

眼圧が正常値より高いのに、目の機能に異常が出ないものを言います。とくに治療の必要はありませんが、経過観察中に開放隅角緑内障になることもあるため、目の異常が無くても定期的に検査を受けるべきです。

先天緑内障

房水の排出路(隅角)のつくりが生まれつき未発達な為におこるもので、乳幼児や若い人にみられます。

乳幼児の場合は、眼球壁に弾力性があるため、眼圧が高まると、眼球自体が大きくなりなり、ウシの目玉のように見えるので「牛眼」とも呼ばれます。

角膜が濁り、明るいところでは、まぶしすぎるため、目を開けようとせず、涙を流します。特に強い痛みを訴えるわけではないので、子供にこのような症状が現れたときは、眼科を受信しましょう。

続発緑内障

病気の症状の一つとしておこった緑内障です。 原因となる病気に、虹彩毛様身体炎・ぶどう膜炎、水晶体前嚢偽落屑、過熟白内障、新生血管(糖尿病、眼底出血)、単純および帯状ヘルペス、外傷、腫瘍などがあります。

緑内障と薬

閉塞隅角緑内障に良くない薬

副交感神経抑制、交換神経刺激作用のある薬剤は急性閉塞隅角発作を誘発しやすい。

例えば、不整脈の薬、睡眠薬、乗り物酔いの薬、鼻炎薬、総合感冒薬、うつの薬、覚せい剤etc・・・

専門的に言うと、抗不整脈薬、抗コリン薬、ベンゾジアゼピン類、三環系・四環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、総合感冒薬、興奮覚醒薬、カテコールアミン類、ニトロ類などです。

この他、大量のカフェイン類 200mg~400mgで眼圧 2.9mmHg上昇。(コーヒー一杯85mg、紅茶50mg)大量の水を一度に飲む、喫煙、うつ伏せ体位、映画など暗所での長時間の散瞳も良くないです。