子どもの病気

子供のインフルエンザInfluenza of Child

インフルエンザウイルスが、おもに呼吸器に感染しておこる病気です。

インフルエンザは大きく分けて、A型・B型・C型の三種類あります。毎年流行する、いわゆる流行性感冒というのはA型かB型のウイルスでおこり、C型は流行するのではなく、散発的なかぜ症状をおこします。

以下、流行性のA型とB型について書きます。この2種類のウイルスは、おもに咽頭、結膜、鼻などに炎症をおこし、ときどきクビのリンパ節炎、気管支炎、肺炎をおこします。

この肺炎の多くは、インフルエンザウイルスによるものもありますが、インフルエンザで弱ったからだに細菌が感染しておこる二次的なものです。

気道の内側にある粘膜細胞は、その表面にある線毛(細胞レベルの細かい毛)の運動や粘液の分泌によって空気中の異物が身体の奥深くに入ることを防いでいますが、インフルエンザウイルスがこの働きをそこないます。粘膜の細胞が死んで剥がれて落ちることもあります。

そのため、インフルエンザウイルスに感染すると、二次的に細胞に感染しやすくなり、中耳炎、副鼻腔炎、肺炎などになりやすいのが特徴です。

非常に感染しやすいので、学級閉鎖や、家族中がかかる「一家全滅」ということが多いのも特徴です。

症状

感染して症状が現われるまでの潜伏期間は2~3日です。突然、つぎのような症状が現われます。もっとも多い症状は発熱と寒けで、以下、せき、頭痛、のどの痛み、疲労感、鼻みず、下痢などの順となります。

B型では、筋肉の炎症をおこし、足の痛みをうったえる子供や、ふくらはぎつまむと痛がる子供がいます。めったにありませんが、心臓の筋肉に炎症をひきおこすこともあります。

また、喉頭炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎などをおこせば、それぞれの症状がでます。

しかし、ふだん健康な子供なら、ほとんどの発熱は2~4日で終わります。型によっては2~3日にいったん熱が下がり、治ったかなと思うとふたたび2~3日熱がでることもあります。その後、しばらく。せきやたんが続くことが多いのは、粘膜の機能がもとにもどるのが遅れるためで、それもだんだん治っていきます。

治療

十分に水分を補給することと安静が第一です。そのほかの手当てはかぜ症候群と同じです。ただし、インフルエンザウイルスA型の場合は、アマンタジンという薬が効きますが、日本ではインフルエンザの薬として、1998年11月に認可されました。すぐに効かなくなる(耐性ができる)ので、健康な子供には使わず、先天的な心臓病とか、重症のぜんそく、免疫の弱いこどもなどの予防と治療に使われるべきでしょう。

発熱はふつうは抑えないほうがいいのですが、頭痛などがあってやむをえない場合にはアセトアミノフェンという鎮痛解熱剤を使い、これだけにとどめておくべきです。特にアスピリンは、ライ症候群というおそろしい病気を引き起こす可能性があるので、使ってはいけません。

いわゆるかぜ薬には、鎮痛解熱剤が入っていることが多いので使用する際は、医師や薬剤師に良く聞いて選んでください。何が入ってるかわからない場合は、使わないほうが無難です。

予防

かつて、学童にワクチンを接種することで流行を抑えようとする試みが続けられてきましたが、失敗しました。

今の注射のワクチンにかわって、より効果的と考えられる鼻につける生ワクチンが開発されつつあります。