子どもの病気

溶連菌と溶連菌感染症

溶連菌は、溶血レンサ球菌の略称です。この菌は血液を含んだ寒天培地で培養すると、赤血球を溶かす毒素をだし、顕微鏡で見るとピンポン球のような球形の菌が数珠つなぎに並んで連鎖状に見えるので、この名前つけられました。

溶連菌感染症とは、この溶連菌が感染しておこる病気の総称で、

  • フルンケル、膿痂疹などの皮膚の化膿性疾患
  • 中耳炎、乳様突起炎などの局所の化膿性疾患
  • 扁桃炎、咽頭炎などの上気道の急性炎症性疾患
  • 猩紅熱、敗血症などの全身性疾患
  • など、色々あります。

    猩紅熱(しょうこうねつ)

    溶連菌の感染によって、全身に紅い発疹が現れる病気です。かつては死亡率が高かったために、現在も法定伝染病に指定されていますが、抗生物質療法を行うと、症状が3~4日で消え、見かけは治ったようになります。このため、近年は、猩紅熱という診断名の使用を避けて、法的な規制を受けない溶連菌感染症という病名で治療することが多くなっています。

    したがって、届出数は非常に減少していますが、実数は相変わらず多く注意の必要な病気です。

    かかりやすい年齢

    3~12歳の子供がかかることが多く、幼稚園や学校で集団発生することが多いので、学校伝染病に指定されています。

    流行する季節

    夏は少なく、晩秋から秋にかけての寒い時期に多発しますが、都会では一年中発生します。

    症状

    潜伏期間は、2~5日です。のどの痛みで始まり、寒気がして数時間のうちに38~39度の熱がでます。病気の初期は食欲がなく、嘔吐したりします。のどの中をみると、口蓋扁桃が赤く腫れ、飲食物を飲み込む時に痛みます。

    1~2日たつと、紅く細かい発疹がくびや胸あたりから現れて全身に広がりますが、かゆみで気づくこともあります。顔は、口の周囲だけ発疹が現れないので口囲蒼白といい、風疹やはしかとの区別に役立ちます。

    3~4日たつと、舌の厚いこけがはがれて西洋イチゴのようなぶつぶつのある赤い舌(いちご舌)になります。

    熱が下がると、発疹もしだいに消え、皮膚が細かくむけますが、あとは残りません。

    合併症

    病気の初期に、のどの炎症が波及し、中耳炎をおこすことがありますが、抗生物質療法が行われるようになってから、こうしたことはまれになりました。

    第二病週には、しばしば口角炎をおこし、くちびるの両端がただれ、食物がしみて痛みます。

    回復期には、リウマチ熱や急性腎炎がおこることがあります。発症率は約1%程度ですが、治療に長い年月を要するので、退院後もしばらくは早期発見に留意してください。

    症状が消えても、医師の許可がでるまで抗生物質を服用し続けることがたいせつです。放置すると、血液のろ過装置である腎臓に大きな負担がかかり、慢性な腎臓病になる可能性が高く、将来は透析を受けるような状態になってしまいます。

    看護と養生ポイント

    高熱の間は寝かせて頭を冷やします。のどを痛がるときは、のどを冷やして一日数回うがいをさせます。皮膚のかゆみを訴えるときは、かゆみ止めの軟膏を塗り、かゆみが激しいときは抗ヒスタミン薬を服用します。

    高熱の間は、消化のいい食事にし、解熱して食欲がでれば、消化の悪いもの以外、普通の食事にします。ただし、腎炎の疑いがでれば、塩分制限が必要です。